3月8日(土)に、渋沢寿一さんをお招きして特別講演会「森と算盤」を開催しました。

渋沢さんは、みなさんご存知渋沢栄一氏のひ孫にあたる方です。

会場は、みんくるの交流スペースに講演タイトルと同じく「森」と「算盤」仕様に飾りました。
(協力:くるめ水の祭典振興会)


講演はまず、寿一氏ご自身のこれまでのJICA(国際協力機構)での活動や、長崎オランダ村などでの経験から、なぜ里山や森に関する活動をされているのかをお話いただいたところからスタートしました。
その後、ご著書「森と算盤」の内容をもとに、渋沢栄一の描いた日本社会や当時の歴史的背景を共有いただいた後、里山資本主義についてもお話いただきました。
(詳細は、ぜひ書籍「森と算盤」を手に取ってみてください!)

渋沢さんのお話は、とても優しくて、リズミカル。
今日本で起こっている農村や森林に関する問題も、スッと頭に入ってきたと同時に、
「今生きている私たち一人一人は、一体何ができるのか?」
と、頭の中で考え続ける問いをもらいました。
後半は、会場から質問や感想を付箋で出してもらい、それに対してコメントをもらう形式で進めました。

「投資を学ばせようとしている学校教育をどう思いますか?」
「幸せってなんでしょう?」
などの質問がでていました。
その中で、「人付き合いの煩わしさと有り難さ」について話題が出たのが印象的でした。
人と人とのつながりやありがたさはわかるけど、一方で昔ながらの自治会や近所付き合いの「煩わしさ」があって、それを避けてきたので「個」になっている現代の私たち。
「煩わしさと有り難さは恋の表と裏の様なもの。今考えていかないといけないのは、煩わしさをどう受け入れられる社会にするかだ。」
この渋沢さんのお話は、「煩わしいので避ける!」と考えがちな私たちに、立ち止まるきっかけをくれたと感じました。

久留米からは、高良山の竹林環境保全を目的とした活動をしている「高良山竹林環境研究所」の渡辺さんより活動紹介がありました。
増えすぎた竹の問題を解消するため、若い竹(竹の子)を活用し、無添加で身体に優しい国産メンマを生産しながら環境再生と竹林活用を両立させたこの活動。
全国的な放置竹林問題解決の一助となり、美味しさにもこだわった高良山の新たな特産品を生み出しています。

最後に、参加者を代表してじじっかの子どもたちから、久留米絣のハンカチをプレゼントして、会場のみなさんで集合写真を撮って終わりました。

終了後には、サイン会を開催していただき、みなさんそれぞれ本を大切そうに持ち帰られていました。


参加された方々からは、
・「資本主義も良いですが、煩わしいことを受け入れる社会が本当の意味でも豊かな社会なのでは…と、これまでの自分の価値観や考えを改めて見つめ直すことができた貴重な機会となりました。」
・「わずわらしさから逃げずに、物を大切に、知識、知恵を学んで、次の世代につなげていければと思いました。」
・「右肩下がりの今、いろんな場面で判断に窮します。選んだことを正解にするには、今日のおはなしのように多面的な見方が必要があるかと思いました。」
・「社会システムに従属的にならない自分なりの生き方を考えさせてくれた。」
などのお声をいただきました。

ご参加いただいた皆さま本当にありがとうございました!!
(Photo:秋山フトシ)